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HA-V1jr

2012.3.4


数年前に12台作ったのが最後になりましたがホームページに何も情報が無い事に気が着き急遽
簡単でも良いのでテクニカル情報にも公開する事にしました。自社のV-1コンソールもガタガタ
になり活用法としてマイクアンプを作るのが一番手っ取り早いとは思っていました。しかし出音
にそれほど魅力を感じていなかったのでなかなかやる気が出ませんでした。そんな時に六本木ピ
ットインのライブに行きましたが10年ぶりに聞いた彼のギターは鋭さが少し足らないように思え
ました。「これはV-1の派手なマイクプリが一番だ!」と思いV1-jrの開発が始まりました。しか
しNEVEのV-1のマイクアンプはラックに収めるのが大変でリミッターも同じ基板に有り高さが40m
m程あり1Uに組むのは結構大変な記憶がありました。しかもGainのSWはもちろん他のSWもすでに接
触不良、交換も大変BELCLEREのinputトランスだけ外して新たな基板を作る事にして一枚の基板で
全て済ませる方向に決定しました。



どうせなら持ち運びに便利なようにハーフサイズで角丸のケースにしてケースの選別を行い早速設計を
はじめ部品配置などから定番のフェニックスに交渉したのですがケース内部36mmに収まる電源トラン
ス作れませんと断られ他の会社に依頼をしました。またGAINのSWはNEVEと同じものではガリが出る恐れが
あり、ELMAを採用「NEVEのV-1と違う」と言われると困るので回路は極力オリジナルに近づける事にしま
したがATTにリレーを付ける訳にもいかずやむなくELMAを3回路にしました。おかげでSWとトランスで一万
円以上になり部品代が膨れる結果となりました。「貧乏人でもNEVEを」と言うか予定価格8万が難しくなり
はじめましたがとにかく部品の手配を先にして部品の寸法図だけで基板の設計がはじめました。



極力V-1のイメージを出す為ノブに放熱隙間のあるオリジナルを洗浄して使う事にしELMAの軸とOUTのVRの
軸の高さを揃える為にアルプスを採用、Phantomや位相はスナップスイッチにしましたが特にトランスの
特性とOPアンプの使い方から考えて48V用の抵抗が常に接続されているとダイナミックマイク使用時に不満
が残るので二回路のSWを使って回路から切り離す様にしています。このSWはメーカーのカタログに載って
ますが注文が来たのは初めてですと担当者に言われた物です。この抵抗を切り離す構成に関しては後日段で
すが、マイクを接続しないで最大ゲインにすると他のメーカーの物に比べてノイズが大きいとクレームが来
た事があり、ちょっとがっかりした事もありますがこの方法は他のマイクアンプを作る時にも採用していま
す。市販ケースで試作しましたがハーフラックにしては幅がちょっとだけ狭く、またラックマウント用のネ
ジ穴の位置決めで苦労したので横幅を広げて基板の部品取り付けに余裕を持たせる事にしました。これでど
んな長いネジを使われても基板を傷付ける事防げます。アースがベタの基板だとハムが出たのでパターンを
考え直して色々なタイプを作りましたががコンデンサーの組合わせでいままで聞いた事の無い音がしたので
あるエンジニアに電話したら早速音を聞きに来てくれ「これはすごい良いか使い物にならないどちらかです
。」と言ったら「これは良いですよ!」と言ってくれたのでその方向で音をまとめました。
定価を94,500円に設定したのですがある楽器屋さんが「こんな良いものを安く売っては駄目だ、メーカーが
潤って初めて販売店が成り立つのだ。」と言って105,000円の定価になりましたが非常にありがたい言葉を
頂いたと今でも感謝しています。結局正式ケースのバージョンが66台プロトタイプを3台出荷しました。

結局、ギターの知人用に派手な音を開発する積りが見当違いの物になってしましました。が音には満足して
います

基板屋さんに送ったプリントパターンですが二回ほど修正してあります。


最後に面白い物が出てきたので紹介しておきます。2004年の年賀状なのですがこの頃にジュニアタイプの物を
作る気持ちが出てきたようです。手持ちのジェンセンのトランスで作る予定でしたが結局翌年の年賀状に「
昨年つくるといいながら作れなかったので今年も同じ写真で送ります。」と年賀状を出した記憶があります。




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